

CDOって言葉を聴いたけど何者?CEOやCIOとは違うの?
本記事では、こんな疑問にお答えします。
デジタル化により注目を集めるCDO。特にデジタルリテラシー低めの日本の大企業で注目される役職です。
有名なのは日本最初のCDO、元日本ロレアルの長瀬次英氏。見た目からしてナイスな長瀬氏ですが、実はCDOは一過性とのお話も…
IT業界のキャリアパス最高峰として意識したいCDO。注目され始めた背景からひも解いて行きましょう。
もくじ
1.変化が求められるトップマネジメント

トップマネジメントとは、経営の総合的な判断に関わり、最終的な責任を負う管理層のこと。
一般的には、社長・役員・CEO・COOなどがあてはまり、個人としてだけでなくチームで会社運営にあたります。
企業を成長させるために、ビジョンを示し、戦略を明確にし、適度にストレッチした目標を設定し続ける。そんなトップマネジメントは、企業にはなくてはならない存在です。
ところが、デジタル化の進展で従来のビジネスモデルが限界に差し掛かると、これまでの知識や成功体験ではカバーできない領域が増えてしまいました。Eコマース分野に乗り遅れ、経営破綻に陥ったレナウンの事例は記憶に新しいですね。
残念ながら、日系企業のトップマネジメントは、デジタルに関する知見が充分とは言い切れません。いまだに「ITのことはよくわからない」とおっしゃったりもしますね。
「でも、このままではいけない…」
そんな危機感のあらわれから、トップマネジメントの新たなメンバーとしてCDO(Chief Digital Officer)を迎え入れる企業が増えています。
2.CDOとは

CDOとはChief Digital Officer(最高デジタル責任者)の略です。
CEO(最高経営責任者)やCOO(最高執行責任者)が組織の業務執行を統括するように、CDOは組織のデジタル変革を経営の視点で推進する役割を担います。
デジタル社会はトライ&エラーの精神が重要です。従来のような3~5年スパンの中期計画と定期的なローリングでは、デジタル化のスピードに耐えられません。
完成度は低くてもいち早くサービスを投入し、カイゼンを繰り返すスピード感が求められます。
テクノロジーやデータを駆使し、これまで不可能とされてきた変革を実現する。そうしたミッションを負うCDOは、いま企業で最も求められる人材とも言えそうです。
3.CDOの3つの役割

<CDOの役割>
①新たな価値の定義
②成長シナリオの明示
③先進領域におけるKnow-HowとDo-Howの伝授
一つずつ解説します。
①新たな価値の定義
CDOが最も期待されるのは、デジタル技術を活用したトップラインの向上。
従来からCIO(最高情報責任者)が実施してきた、既存業務の効率化やコスト削減に留まることなく、新しい価値を探索し、ビジネスに直接的に貢献する必要があります。
自社にとっての真の価値は何か?トップマネジメント内でコンセンサスをとる。社員のみならずパートナーにまで「共通の価値観」として浸透させる。CDOはそうした役割を担います。
②成長シナリオの明示
新たな価値を定義しても、絵に描いた餅では意味がありません。決して夢物語ではないことを、具体的なシナリオとともに示し浸透させる必要があります。
関係者全員に夢を見せ、仲間を作り、本気で取り組むよう仕向ける。CDOはそうした役割を担います。
③先進領域におけるKnow-HowとDo-Howの伝授
ビジネスをけん引するには多くの経験が必要です。でも、デジタル領域は日進月歩。社員が経験を積み重ね、育つのを待っていては遅すぎます。
豊富な経験を基に、トップマネジメントとしてやって見せ、言って聞かせ、させてみることで人を育てる。持続運営に向け組織化しながら、次世代を担う人材を育成する。
CDOはそうした役割を担います。
4.CDOが乗り越えるべき2つの壁

乗り越えるべき壁は様々ですが、特に大きな壁を2つ紹介します。
<乗り越えるべき壁>
①戦略矛盾とカニバリ問題
②官僚的組織の安定化問題
一つずつ見て行きましょう
【1つ目の壁】戦略矛盾とカニバリ問題
当然ですが、企業には収益の柱があります。デジタル技術で新しいことに取り組もうとした場合、既存事業と競合(カニバリ)する可能性が高いです。
ここに突破すべき大きな壁があります。
例えばEコマースを立ち上げれば、既存の店舗販売が打撃を受けます。データ活用で配送センターを半減すれば、既存社員は行き場を失います。
そうした可能性のある新サービスの立ち上げや変革には、必ず実力者の反対が伴います。あらかじめ社長と合意し、トップマネジメント合宿などでデジタル化のゴールを徹底的に話し合う。そうしたトップダウンのアプローチが求められます。
【2つ目の壁】現場のカルチャー・マインドの壁
大企業ほどしっかりとしたガバナンスが確立され、何をするにも関係者の合意と承認が必要になります。
ボトムアップの合意アプローチでは、大局的な判断はできません。決定権者が多ければ多いほど意見は割れ、最大公約数的な骨抜きの解しか生まれなくなります。
ここに突破すべき大きな壁があります。
「それはXX常務にお伺いを立てないと進められません」「それは今までのお付き合いを考えるとできません」
よく聞く話ですね。CDOはこれを変える必要があります。答えは「教育しかない」のですが、言うは易し。それができるCDOは貴重な存在です。
5.CDOの失敗例

衣料品大手A社では、これまでの店舗販売を中心としたビジネスモデルに限界を感じていました。当時は衣料業界におけるEコマースが注目を集めており、その分野で先駆的と目されたB氏に白羽の矢を立てます。
ただ、A社はCDOを迎え入れるだけで良しとし、B氏の権限の手当をしなかった。変革をコミットする、役員クラスのプロジェクトオーナーを定めることもなく、デジタルと名がつくものは全てCDOが担当。
但し、意思決定は合議制としたため、目新しいことは何も決まらなかった。CDOに任せるわけでもなく、提案すれば様々な個所から反対意見が出て骨抜きになる。
社長によるバックアップもなく、ほどなくB氏はA社を離れることとなりります。
日本の伝統的大企業は、ボトムアップの意見収集と合議制の意思決定を好みます。残念ながら、スピードが命のデジタルの世界で、そうした手法はマッチしません。
トップマネジメントは、デジタル変革で何を達成したいのか?なぜこのCDOを迎え入れたのか?全社に向け正しくメッセージを届けた上で、権限の手当含むバックアップをすることが必要です。
6.日本で最初のCDO、元日本ロレアルの長瀬氏

出所)公知情報より抜粋。俳優と見間違えるほどナイスガイな長瀬氏
次に成功例を見てみましょう。
化粧品メーカーのロレアルでは、コンサルティング企業やメーカーのデジタルマーケティング部門などを歴任してきた長瀬次英(ながせつぐひで)氏を採用。
インスタグラム・ジャパンの初代日本事業代表責任者。日本初のCDO。CDO of The Year2017受賞。
華々しい経歴を引っさげてロレアルでデジタル改革の旗振り役となります。
長瀬氏は「Cクラス」の人材として全社をあげた変革に着手。
IT・SCM・倉庫・コールセンター・PR・エデュケーション・セールス・人事。会社の価値をレベルアップさせるために、全ファンクションで変革を進めます。
特に重視したのはカルチャー・マインドの変革。
以下、長瀬氏談です。
長瀬氏
フェイスブックやインスタグラムってフラットな組織じゃないですか。誰だって社長とも話せるし、必要であれば声かけてプロジェクト立ち上げてどんどん進めていくみたいな…そういう文化が今のデジタルの世界を作っているのであれば、そういう文化を入れないといけない。
日本の企業はそうじゃないですよね。まずこの人に話をして次こっちみたいな。そういうのは取っ払いましょうよと言うのは、役員とかエグゼクティブクラスでまず合意しました。
現場に対しても同じ。長瀬には誰でもLINEできるとか、自分の個室にはいないようにしていつもカフェにいるとか、毎週のようにデジタルトレーニングやるとか、Eラーニングの仕組みを入れたりとか。なぜCDOが必要なのか?何をみんなとやりたいのか?百貨店のお姉さん含め全員に話をする。こういうことがしたいので力を貸してくださいねといった具合です。
僕とか、ロレアルの中では雲の上のような存在でしたが、新入社員含め可能な限り全員あってますからね。それだけでもロレアル変わったなって感じるはず。そういう大企業になかった部分、シリコンバレー的なカルチャーを入れていく。コミュニケーションの仕方や会社の雰囲気を変えるところから始める。初めの1年はとにかくそうした教育です。
何がどう起きているか?が数字やグラフでわかるようにダッシュボードを作って、社員全員がアクセスできるようにする。ダッシュボードをカフェテリアにおいて、今、ロレアルについてソーシャル上でどういうことを言われてるか?とかがわかるようにする。社員がソーシャルに興味を持つよう仕向け、ブランド同士が意識するようにしたりする。そうした情報の共有化を進めました。
出所)英国なりTubeさん配信動画より
書き出すと尽きないですが…
華々しい経歴。コメントも一つ一つカッコいい。日本初のCDO。注目です。
7.まとめ

CDOを外から迎えるのではなく、素養のある社員を選抜し、育てるといった議論もあります。
もちろん、時間が許せばよいのですが、デジタル化はスピードが命。社員が充分な経験を積み、CDOとして一人前になるのを待っていたのでは遅すぎます。
「長瀬氏のような肩を育てられますか?」ということです。
そうした特性を背景に、デジタル変革の請負人として、多数の企業を渡り歩く「職業CDO」が出ているほど。
外部からCDOを迎え入れ、変革を担ってもらい、その背中を社員に見せ、大人数に伝播させる。模範となる人物の背中を見て刺激され、高速に育った人材が、次世代のCDOを担う。
そうした取り組みが必要かもしれません。
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